【プロ解説】ベンゾイン精油の効能と香りの魅力|精油辞典
(この記事は2021年8月19日に更新しています。)
こんにちは。坂上ひろみです。
今日はベンゾイン(日本名:安息香)の精油についてお伝えします。
ベンゾインといえばバニラに似た甘い香りで、香水産業でも重要な香料。
西洋の香りかと思いきや、日本でも「安息香」としてお香の歴史があります。
みなさんの疑問をあげてみましょう。
- ベンゾイン(安息香)ってどんな香り?
- ベンゾイン精油って香水に使われるの?
- 安息香の日本の歴史は?
- ベンゾイン精油の効能は?
- ベンゾイン精油の禁忌ってある?
- ベンゾイン精油のおすすめのブレンドは?
- ベンゾイン精油のおすすめの使い方は?
- ベンゾインが使われている香水とは?
プロからのアドバイスを交えて、解説します。
そして!覚えやすいように、今回もアロマを擬人化していきます。ベンゾインを人に例えるとどんな人なのか?を説明します。
読み終わる頃には講師としてベンゾインを説明できるレベル、余裕で使いこなせるレベルになっていただきたいと思います。
そのため今回も講座1本分の価値ある内容にしました。
それでは今日もいってみましょう!
目次
ベンゾイン精油のプロフィール
ベンゾイン(安息香)
原料植物名:アンソクコウノキ
種類:高木
科名:エゴノキ科
学名:スマトラ安息香→ Styrax benzoin
シャム安息香→ Styrax tonkinensis
主産地:スマトラ安息香→ インドネシア、タイ
シャム安息香→ タイ、ラオス
精油抽出部位:樹脂
精油製造法:揮発性有機溶剤抽出法
成分:スマトラ安息香→ 桂皮酸エステル類、バニリン
シャム安息香→ 安息香酸エステル類、バニリン
ノート:ベース
色:茶色、茶褐色
香り:バルサム、レジンノート。バニラに似たとても甘い香り
香りの強弱:中~強
安全性:毒性刺激性はなし。まれに過敏に反応し感作作用を及ぼす場合あり。
ベンゾイン精油の特徴
- ベンゾインはバニラの香り!と覚えるのが基本
- エステル類が多いがバニリンという成分がバニラの香りになっている
- 樹高25m以上に育つときもある高木
- ラオスやベトナムの高地で栽培されている
- 秋から冬に幹に切り込みを入れ、1、2週間で分泌された樹脂を削ぐ
- 樹脂1本につき400~600gの収穫量
- 日本ではお香として古い歴史がある
- 香水の重要な原料として有名
- 香水の保留材として使われている
- スマトラベンゾインの方が、シャムベンゾインより香りが強くスパイシー
ベンゾイン精油の歴史|西洋編
ベンゾイン精油(安息香)は、古代で多くの宗教儀式に使用されていたことがわかっています。
商取引が中近東にて13世紀に始まり、15世紀にはヨーロッパに伝わり、呼吸器への感染症の治療に使用されていました。
この時点で、ベンゾインの持続性や、調合することで香りがよくなることがわかっています。
そののちに、香水、化粧品家庭用品へと使用されてきました。
安息香(ベンゾイン)の歴史|日本編
ベンゾインは、東洋において何千年も前から薬として使用されてきました。
日本においては古くから安息香として、お香の原料に使用されてきました。現在でも防腐剤や去痰剤の原料となっています。
医薬品では、解熱剤や鎮痛剤、慢性潰瘍の治療にも用いられています。
ヨーロッパだけでなく、日本においても「安息香」の名の通り、息を安ずる効果があり、去痰剤として使用されてきました。
七福神の話の中に安息香
七福神の中で唯一の女性、弁天さまにもこの安息香は出てきます。
お経の中に、釈迦の説法を聞いた弁天さまがみんなに向かって、悟りをひらけるよう、長命でいられるようにとっておきの入浴方法を説明する話があります。
そこで出てくる入浴法に安息香が出てきます。
その他、沈香や麝香(ジャコウ、ムスクのこと)、現代のパチュリやサフランなど32種類もの香料をいれた香料風呂に入るという方法です。
そんなたくさんの種類を入れるのは無理だとしても、数種類なら今でも楽しめますよね!
美の神の入浴法を今、やってみるのも楽しいかもしれません。
アルメニアでは空気の浄化として使用
同じくアジアの話ですが、19世紀末にはアルメニアにて、家庭内で空気の浄化やよい香りを家に広める目的でベンゾインを焚いていました。
そこに着目し、アルコールとベンゾインを調合した液体を紙に吸わせたものに火をつけ、炎をださずにゆっくりと燃える香りを楽しむアルメニアペーパーなるものが登場します。
(のちほどおすすめアロマグッズでこの商品をご紹介します!なんと現代でも買えます)
ベンゾイン精油の効能
日本においても西洋においても、呼吸器に作用するというのがベンゾインの一番の効能でしょう。
その他の精油の効能もみてみましょう。
身体への効能
消毒、強心、止血、駆風、去痰、抗カタル、利尿、瘢痕形成、収れん、デオドラント、抗炎症
がベンゾインがもつ精油作用です。
咳が続いて苦しいとき、肺の感染症、気管支炎などに良いです。
現在でもヨーロッパ薬局方(ヨーロッパでの医薬品の公的基準を示すもの)では、自由処方で調剤されています。
でも、咳以上の症状になればもうそれは個人が精油によっている場合ではないので、絶対に病院に行ってくださいね。
(病院に行く機会を奪ってはならない、と強く思っています)
肌への作用としてはひび割れにもいいので、リップに1滴まぜて作ってみるととてもいいです。この甘い香りもまた最高です。
こ注意点:乾燥肌や抗炎症作用があるものの、抽出法がレジノイドのため、顔全体への使用は控えた方がよいでしょう。
心への効能
鎮静、抗うつ、高揚などがあります。
多幸感を及ぼす香りで、社会との隔たりを緩和させ、緊張やストレスを和らげてくれます。
精神的に満たされたいとき、不安や孤独感から解放されたいときにおすすめです。
ベンゾイン精油の禁忌
ベンゾイン精油は、甘い香りとは裏腹に、刺激性がある精油です。刺激性があるとは、肌に塗ることでピリピリとした違和感や、人によっては感作がある場合もあります。
対処法としては、できるだけ低濃度で使用することです。
妊娠中、授乳中は使用を避けてください。
※アロマのプロからのアドバイス
ベンゾイン精油は、粘性が高くスポイトで使用するブランドも多い種類になります。スポイトは、精油ビン1滴の半分である0.5滴の量になるため、量も調節しやすいでしょう。
甘くて強い香りのため、少量の使用で十分な種類です。
精油の正しい使い方は、【プロおすすめ】アロマオイルの使い方9選|基礎編を参考にしてください。
ベンゾイン(安息香)と相性の良いアロマブレンドは?
ベースノート全体にいえることですが、ベンゾインにおいてもやはりフローラル系との相性が抜群です。
ジャスミンとの相性はとてもよく、甘さを加えてフローラルを引き立たせてくれます。それだけでなく、香り全体の持続性も高めてくれるのですから本当にありがたい存在です。
その他、ローズやサイプレス、ジュニパー、柑橘系との相性も良いです。
ジンジャーとのブレンドはとても魅惑的な新しい世界を感じることができます。
フランキンセンスとミルラとの相性もいいです。これはもう古代からの焚香として使用されてきたブレンドとなります。
歴史を感じたい、瞑想やヨガの時など、心を落ち着かせ、深く自分と向き合えるブレンドです。
ブレンドについて詳しく知りたい場合は下の記事を参考にしてください。
参考:アロマのプロがお伝え!アロマオイルの組み合わせ|リラックス編
ベンゾイン精油のおすすめ使い方は?
吸入法
呼吸器系への作用を望む場合はマグカップに垂らし、蒸気と共に吸う吸入法をしましょう。
吸入法はマグカップに熱いお湯を入れ、精油を1~3滴たらす方法です。
注意点は目に入らないよう、目を閉じて吸入することです。
ベンゾインはわりと強く香るので1,2滴でいいでしょう。
マッサージ
キャリアオイルで希釈したベンゾインで胸元をゆっくりマッサージするのもいいです。
精油は濃度が濃い原液ですので体へ使用する際は必ず希釈してください。
身体への使用の希釈は1%以下にすることが基本です。
ブレンド
一番のおすすめはブレンドして楽しむことです。
ベンゾインだけを楽しむのもいいのですが、いかに他の精油の感じ方が変わるか体験していただきたいです。
ジャスミンだけ、イランイランだけを単体で香る時よりグッと印象が変化します。
ベンゾイン(安息香)のおすすめ香水とアロマグッズ
ゲランのランスタンはまさにベンゾインを強く感じる香水です。有名調香師もおすすめするほどです。
ジャスミン、イランイラン、ベルガモット、マンダリン、ムスク、ベンゾイン、アイリスという、ブレンド内容を見ただけでわかる最高の香りです。
プラダのキャンディ。名前の通りとても甘く、でも10代のような若い甘さではなく大人の香りです。
ムスク、ベンゾイン、キャラメルといった食べたくなるようなブレンド内容です。
なんと、上でも説明したアルメニアペーパーが現代でも購入できます。
19世紀末に販売され、今ではお目にかかれない商品がフランスから直送で楽しめます。
私もプレゼントとして使うほどおすすめです!
アロマ系商品からはこちら。オーガニック天然精油を使用しているため、天然の香りそのものを楽しむことができます。
ラベンダーとベルガモットがブレンドされていますが、ベンゾインを主役においているほどベンゾインを楽しめます。
香水のような強い香りは苦手という方や、空気の浄化をしたいという方におすすめです。
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