【日本が誇る香水ブランド】パルファンサトリの魅力に迫る
こんにちは。
坂上ひろみ(@flandre_hiromi)です。
「パルファン サトリ」という香水ブランドを知っていますか?
香水好きの間では有名な、日本の香水ブランド「パルファン サトリ」は一体どんなブランドなのでしょうか。
日本らしい香りの使い方を意識して作られたそのブランドは、今や海外でも認められているブランドとなりました。
今回はそんなパルファン サトリのブランドヒストリーや調香師について解説していきます。
サトリ商品を持っている人も、改めてブランドについて詳しくなりましょう。
- どれくらい有名なブランドなの?
- 誰が調香師?
- どんな経歴をもっているの?
- 香水のレベルは?
- フランス調香師協会ってどういうもの?
これらの疑問を探っていきましょう。
✔この記事の信頼性
内閣府に認定された、アロマ業界で唯一の公益社団法人日本アロマ環境協会。その日本アロマ環境協会認定アロマテラピーインストラクターが私です。
アロマテラピーアドバイザー、アロマテラピー検定1級も取得しています。
現在はアロマで独立し、フレグランス販売やサイト運営、ライターとして暮らしています。
そんな私がお伝えします。
目次
パルファンサトリとは?
「パルファン サトリ」とはどういうブランドなのか、特徴をおさえていきましょう。
- 日本人調香師大沢さとりが創設した香水ブランド
- 日本の風土を意識して軽やかさを大切にしている
- コレクション販売だけでなく企業案件も受けている
- フランス調香師協会への会員登録
- フランス グラースにある国際香水博物館に収蔵されている
- 「PERFUME THE GUIDE」(日本役版「世界香水ガイド」)に掲載
- 臭いの帝王に認められている
それぞれ解説していきます。
パルファンサトリの調香師はどんな人?
パルファン サトリを生み出した大沢さとりは、東京出身の調香師。幼い頃から日本の伝統に触れて育ち、花道師範・茶道の茶名も取得しています。
香道も学んでいるため、日本らしい香りの歴史や伝統文化に精通している、世界では珍しい調香師です。
元スイス・フィルメニッヒ社の主任調香師である丸山賢次に師事したのち、2000年にサロンを開設後20年以上の経歴を持つ、フランス調香師協会会員です。
パルファン サトリを発表したのは2003年。欧州での販売も行っており、現地メディアにも取り上げられました。
転機が訪れたのは2018年。匂いの帝王と言われるルカ・トゥリンが評価する、「PERFUME THE GUIDE」に掲載されます。
これ以降国内においての評価もぐんと高まり、認知されるようになります。
日本に合わせた調香
日本は湿気の多い国。海外で作られる香りは重たく使いにくい季節があるのも、日本ならでは。
そこに注目した大沢さとりは、日本の湿度と気候に合わせた「軽やかさ」を意識しました。
日本らしい「和の文化」を香りに取り入れたその調香は、日本人として幼い頃から学んできた伝統を知っているからこそ生まれる、奥ゆかしさがあります。
企業案件も手掛ける
パルファン サトリはコレクションの販売だけでなく、スクールの運営や企業とのコラボレーションにも取り組むサロンです。
2020年から、京都市にある「HOTEL MITSUI KYOTO」や、東京都中央区にある「ペニンシュラ東京」のルームアメニティの調香も手掛けています。
今後も、企業案件が増えることは間違いない調香師といえます。
フランス調香師協会の会員
フランス調香師協会について調べましたが、日本でまとめられているコンテンツがなく、実態が不明だったため、公式サイトを調べました。
参考:S.F.P公式サイト
フランス調香師協会とは?
フランス調香師協会Societe Francaise des Parfumeurs(通称S.F.P)とは、1942年に設立された、調香師が数多く所属する香水の専門団体。フランスのベルサイユにあります。
設立当初は名前も違い、何度か名称変更があり、1999年に「フランス調香師協会」となりました。
現在は、フランスを拠点とする900名ほどの専門家が会員となり、調香師だけでなくマーケティングや品質管理のプロ、生産者など香りに関わる様々な専門家が所属しています。
フランス調香師協会の目的は、香水に関する研究を深め、フランス香水業界をさらに発展させていくこと。研究の共有や、才能ある若手の育成、求人情報や表彰などのイベントもあります。
フランス調香師協会に所属する日本人は?
大沢さとり以外には、同じく日本人調香師で有名な「miya shinma」ブランドの新間美也や、オランダ・フランス・ドイツで調香師として活動した島崎直樹も所属しています。
他にも資生堂や国内大手香料メーカー出身の日本人調香師が所属しています。
島崎直樹が監修した「レア・パフューム」という本は、とても面白いためおすすめです。
老舗ブランドだけでなくニッチフレグランスへの勢力の変化や、パリの販売スタイルをフルカラーで楽しむことができます。魅力的なブランドを目で見て楽しみ、新たな発見もできます。
新間美也も書籍をいくつか出版しています。中でも「香水のゴールデンルール」では、フランスに拠点をおく新間美也だからこそ知る、フランス人女性の香水の楽しみ方から、基本的な香水知識を知ることができます。
いくつかのチェックリストから質問に答える、自分に合ったフレグランス診断もあるため、新しい香水選びの指針となります。
フランスグラースにある国際香水博物館に収蔵
2006年に発表された、「サトリ-Satori-」の茶壷型香水がフランスグラースにある国際香水博物館に収蔵されました。
香水博物館では、ヨーロッパ以外の香水の収蔵において、伝統的な物が多く、現在販売されている商品をおくことは稀。その中で日本らしい茶壷型の香水を発表できるサトリだからこそ、成し遂げることができたのでしょう。
国際香水博物館は、100年の歴史を誇る世界的に有名な博物館。香りの本場グラースに位置し、5万点以上の収蔵を行っています。
日本の香道に関する展示もあります。
日本は、独自の香りの歴史をもっているため、もっと自信をもって世に香りを送っていける存在ということを示していますが、現在日本の香水収蔵は少ないため、今後に期待したいですね。
世界の匂いの帝王に認められた
「PERFUME THE GUIDE」は、世界中の香水愛好家たちのバイブルとして有名な本であり、ルカ・トゥリンが5段階(☆☆☆☆☆)でニッチブランド香水や独立系香水まで評価するガイドブック。
辛口すぎるルカ・トゥリンの言葉がまた面白く、「そこまで言う?!」と笑えてくるほど。
出版されるたびに話題となります。
ルカ・トゥリンとは、レバノン生まれの嗅覚研究者で「匂いの帝王」と名付けられていますが、調香師ではありません。
この本に日本の独立系ブランドとして掲載されたのはパルファン サトリが初めてとなります。
掲載されたのは、9作品。その中で5作品が四つ星(★★★★☆)を得ています。
ルカ・トゥリンはとにかく褒めることが少ない人物。
その中でパルファン サトリの商品はひときわ目立ち褒められているという、なんとも不思議で誇らしい結果となっているのです。
不思議と書いたのには理由があります。
香りの本場はフランスのグラース。香水の発展も欧州が中心であり、日本においての香水の位置づけや発展は欧州のそれとは大きな差がありました。日本は歴史的にも立ち向かえるわけがない市場だったのです。
その中で目立つことを成し遂げたパルファン サトリは歴史的にみても、大発展を遂げているといえます。
「PERFUME THE GUIDE」は日本でも原書房から「世界香水ガイド」として販売されています。現在3巻まで出ており、とても面白いためおすすめです。世界の名だたるブランドが並ぶ中に、日本のブランドが掲載されているのを見るのは、とても誇らしく不思議な気分となります。
パルファンサトリの魅力
パルファンサトリ作品の魅力は、なんといっても日本らしさ。
香水の老舗ブランドはヨーロッパのものが多く、日本人が身に着ける香りも必然的にヨーロッパのものが多くなります。でも、使う場所は欧州と違って湿気が多く四季によって気候が大きく変化する日本。
「体臭を消したい」「セクシーに魅せたい」という欧州ならではの目的は日本には少なく、生活に根付いた香りも全く違うものです。
ラベンダーが生活に根付いているヨーロッパに比べて、日本人は柚子やひのきの香りにホッとした感覚を覚えます。
ウード(お香)やサンダルウッド(白檀)の香りは、ヨーロッパではとてもセクシーで魅惑的に感じられますが、日本では仏具に使われることも多いため懐かしく神聖な香りに感じられます。
「とはいえ、香水の発展してきたヨーロッパの香りが最高なんじゃないの?」と思う方もいるでしょう。
でも、桜餅の葉から香る「甘さ」と「青さ」を知るのは日本人ならでは。
あんぽ柿の「渋み」と「フルーティーさ」を知るのも日本人だからこそ。
日本には、日本で育たないと深く知ることのない、奥深い香りがたくさんあるのです。
日本に合った香り、日本をルーツとした香り、意外と人とかぶらない香りを身にまとって、これまでとは違う香水を楽しんでみてはいかがでしょうか。
次回、パルファンサトリの商品や、「miya shinma」の調香師である新間美也の魅力に迫りたいと思います。お楽しみに。
参考:次回