坂上ひろみ
アロマエッセイ「香りと、私と。」

夫と、息子と、時々わたし。

結婚して子供が産まれてから、「わたし」の生活は180度変わった。
いや、一周して、もはや別の人生を歩んでいる気さえする。

大好きなアロマを勉強する時間、アロマの仕事をする時間は、ライフスタイルの中心から引きずり落とされ、仕事でありながら天にも昇る気持ちになれる「自分だけの時間」となった。
そう、それ以外の時間がまさに肉体労働的「母」としての時間となったからだ。

「母」ってやつは、こんなに忙しいと思っていなかった。
うっとりと過ごしていた緩やかな毎日は急変して、朝から保育園へ送る時間はバタバタ。仕事を終えて保育園へ迎えに行く時間は、「これからが、本番」とさえ思う。

それでも私は、妊娠前からのアロマという「最高の遊び」を辞めたくなかったし、自分の時間も失いなくない。だからどんなに忙しくても、自分を保つために仕事を続けている。

とはいえ、毎日きちんと保育園に息子をあずけられるかといえば、そんなことはない。全然ない!男の子だからか、風邪ばかりひく。すぐ熱がでたり、咳がやまなかったり。それも見越して、仕事を組まなくてはならないのだ。

自分を癒し、人に癒しを与えたいがためにアロマを仕事にしているのに、時々いっぱいいっぱいになった自分に、「はて?アロマで癒されるべき一番の存在は私なんじゃ?」と我にかえる。

そんな時は、夜子供が寝静まったあと、仕事を再開する前に、とびっきりの精油を使う。

ロータス(珍しいがアロマ先生仲間に頂いた!ありがとう!)、ベルガモットで天国のような気分に上げて、ジンジャーで刺激を与え、ローズウッドで少し甘く締めた。

最高だ。

このために生きてきた(おおげさ)。

そしてストレッチと筋トレも忘れずに行って、メグリズムを貼って寝る。ストレッチをやってから短時間の睡眠でもすっきりと起きることができる。あと食いしばり防止のマウスピース。これで夜の力みから解放。
筋トレは精神的安定と、PMS改善にも効果があった。なぜ精神的安定があったのかというと、「自分との約束だけは守る」ことを続けているから。自分との約束は、人との約束より大事。一度やると決めたら続けること。たった5分でも続けることが、自分への自信につながるし、自分を好きでいられるから。

アロマの専門家ながら、はっきりいって精油を香るより、筋トレの方が身体への変化として即効性がある。アロマは長期的な精神安定に向いていて、自分と向き合うためのもの。気分をよくするためのもの。薬ではない。これが私の見解。

そんなわけで、夫と息子との忙しい毎日はバタバタと過ぎていって、自分でも追いつけないわけだが、きっと20年後はこの生活が愛しくてたまらないのだと思う。
小さな手と、ニコニコの笑顔、四角い顔して大泣きする表情や、夫の息子を見る目。いつの間にか覚えてしまった消防車や電車の種類を、私は息子が大人になってもきっと反応してしまう。もう大人なのに、大好きなイチゴを見てまた買ってしまう。息子のためだけに買っている有機バナナはきっと、普通のバナナに戻っているだろう。

香りの記憶は図りしれないから、息子との生活にあった香りをいつまでも懐かしむと思う。

香りと私と、忙しい毎日の記憶。





参考:坂上ひろみプロフィール